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Do4K 導入事例

株式会社IMAGICA Lab.様

株式会社IMAGICA Lab.

 

 

まだまだ知られていない?「HDR」番組制作の課題

株式会社IMAGICA Lab.様は主に映画・テレビ番組・テレビコマーシャルに関する業務を行うポストプロダクションです。渋谷公園通りスタジオは、2016年7月に8K映像の編集に特化したスタジオとしてオープンしました。2019年11月には、渋谷公園通りスタジオNEXTのオープンにより、映像はもとより、22.2ch対応のMA 室をいち早く備え、映像、音声ともに超現実(スーパーリアル)的な映像制作の最先端の環境をご提供されています。
また、同スタジオには、8Kばかりでなく、4K/HDR映像制作において豊富な経験を積まれた優秀なスタッフが多数在籍し、これまで多くの番組を手がけてきました。言うなれば「高精細映像制作の専門家集団」
今回、スタジオを代表して、編集現場のスケジュールや8K、4K/HDR案件をとりまとめるスタジオ担当マネージャーの渋谷様、高精細映像の技術アドバイザーの小部様に、Do4Kを利用するに至った理由や制作上の課題・解決策(特にテロップ入れ)についてお話を伺いました。

MAGICA Lab.小部様 渋谷様
左側 IMAGICA Lab.小部様、 右側 IMAGICA Lab.渋谷様


HDR番組制作は罠だらけ

BUG:新4K8K衛星放送が開始され、2年が経とうとしています。HDR番組制作の課題はどこに感じられますか?

小部氏:制作に関わる人たちにも未だHDRの知見が十分には浸透していない点でしょうか。言葉としての「HDR」はメジャーになってきましたが、実際何がどうなの?といった「テレビのHDR」までは、なかなか広まっていない気がします。まずは、そこに対して丁寧にアナウンスし、導いていくというのが直近の我々の大事な仕事の一つです。

渋谷氏:そのせいか、ポスプロである私たちも、HDR制作にあたって、従来とは異なりプリプロの段階から参画することが多くなってきたように思います。

小部氏:2Kの番組制作では『BT.709』というSDR規格に準拠したフローになりますが、これまでは撮る側も作る側も、ほとんどのケースでは何も意識せずBT.709で制作できていました。
しかし、そうはいかないのが4KHDRの番組制作です。SDR制作したコンテンツでもそのままHDRモニタで表示はできてしまいますが、それは制作意図とはかけ離れたものになり、HDRコンテンツとは言えません。HDRを正しく狙い通りに表示するには、『制作フローやそこで扱う様々なデータをどのようにHDRの規格に落とし込んでいくか』という意識が必要なので、扱う「人間(ひと)」の話になってきます。
そのためには、HDRの規格である『BT.2100』の理解やBT.709との差異をきちんと捉えておくといったそもそも論が重要になり、その点がSDR制作との大きな違いだと思っています。
[よくわかる、HDR徹底解説! ワークフロー](EIZO様ホームページへリンク)

BUG:SDRですと、意識せずとも規格に沿ったコンテンツができ上がっていたといった状況だったのが、HDRの場合は規格を理解、意識して、制作者自身がこのエッセンスを落とし込んで制作しないとHDRコンテンツにならない、つまり、優位性を表現できないといったことですね。

小部氏:おっしゃる通りです。制作側としては、ここが従来と大きく異なる部分で、技術的にも難易度を高めている部分だと思います。

渋谷氏:HDR制作の場合、撮影時はLogで収録しカラーコレクションの作業を行うことが必要になってきます。S社のHDR(HLG)フォーマットのカメラが発売されていますが、できるだけそのような意識をポスプロ側に持たせずに簡単に編集できるようにするためなのだと思われます。

テロップ・・・どうしよう?一体化制作での葛藤

BUG:テロップ制作といった観点から見た場合、特に最近では2K/SDRと4K/HDRの番組を制作する「一体化制作」といった方法が増えていると聞きます。御社ではどのように対応されていますか?課題など含めてお聞かせいただけますでしょうか。

IMAGICA Lab.小部様 IMAGICA Lab.小部様 
渋谷公園通りスタジオの高精細編集に関わる技術ブレーン。
多くの8K、4K/HDR番組を編集してきた。
技術論になると目を輝かし歯に衣を着せない話し振りはなんとも心地よい。

小部氏:やはり、SDRとHDRの両方作らなくてはならないというのは難しいところですね。2Kも4KもSDRですよ、となると、ざっくり言ってしまえば、解像度とフレームレートの違いになります。これが2K/SDRと4K/HDRになると、もう1つ変数が増えてきます。SDRを制作してからHDRを制作するのか、HDRを制作してからSDRに落とし込むのか、あるいは別々に制作するのか、ワークフローの選択肢が増えます。それと同時に、同じコンテンツなのだから映像演出は同じように再現する必要がある。
テロップにおいても同様に、色域とダイナミックレンジの異なる2つのコンテンツで同じ見た目(デザイン)を表現しなければならない。これをどうしようかという問題が出てくるわけです。

BUG:そうですね。弊社でもセミナーを開催しているのですが、ご指摘していただいた部分に疑問を持たれ、セミナーに参加される方はとても多いです。

小部氏:渋谷公園通りスタジオでは4Kテロップ制作にPhotoshopを使用しています。Photoshopの作業環境はSDRとなりますが、2KSDR版と4KHDR版のテロップは同じ内容なので、それぞれ別々に作るというのは手間になります。そこでPhotoshopでは4Kドキュメントで作業を行い、テロップ毎に1枚ずつのPNG画像として書き出し、2Kの編集時はサイズを縮小してタイムラインに載せていきます。2Kと4Kの解像度の違いはこれで対応できるので、あとはHDRにおける色域とダイナミックレンジの問題になります。
例えば、HDR環境のノンリニア編集ソフトのタイムラインに載せてから、色調整で輝度や色味の雰囲気を合わせる方法もなくもないのですが、正攻法とは言い難いですね。否定こそしませんが、SDRのままテロップを載せるのか、きちんとHDRに色域変換するのかは、編集サイドの技術力の差になります。HDRの制作に当たってはテロップもBT.2100の規格に合わせるというのが望ましい。この問題を解決するために、これまでは書き出したテロップのひとつひとつに編集ソフト側で色域変換用のLUTをあてるなど、全て後処理として対応していました。

BUG:SDR制作時と比べ、編集者の負担は増えることになりますね?

小部氏:そうですね。負担を増加させる一つの要因ではありますね。一体化制作全般で言うと、SDRからHDRへの技術的な翻訳や掛け渡しの作業が増えますので、編集者の負担は確実に増加しています。規格にこだわるあまり、時間を要してしまうこともあるのですが(苦笑)、少なからず「とりあえず編集始めちゃえ」といった”ノリ”でいくと破綻しますので、最初の段階でゴールへの道筋をしっかりと計画する必要があります。さらに作業を進めていくうえでも技術的根拠に基づいた手順を間違えずに選ぶことが重要になるのですが、編集者としては少しでもこの負担を軽減したいというのが正直なところです。

Do4K導入のメリットは?

Photoshop上のDo4K操作ウインドウ

BUG:今回、Do4Kをご導入いただき、どのような利点があると感じられましたか?

小部氏:Do4KはPhotoshop上で直接色域を変換することができるのでとても助かります。しかも、ターゲットとする背景に応じてレンジを任意に調整できるので自由度が高い。ここが一番のメリットだと思います。
また、2K/SDR、4K/HDRの一体化制作を前提とすると、Do4Kでは、Photoshopで制作したテロップをHDRとSDRの2つのPNGファイルを同時に書き出せるのも便利です。
テロップを書き出した時点で既に色域の問題について対処できているので、編集側での色域変換というプロセスから解放されることになります。今まで後処理として手作業で行ってきたことが前段階でクリアされているので、編集の効率化という面でのメリットも大きいです。
他方、ワークフローの側面から見ると、HDRとSDRの2つを同時に生成してくれるのが素晴らしい。実作業では『SDRで完成したシーケンスを流用してHDRシーケンスへと仕上げていく』というケースが多いのですが、編集ソフト側でテロップのリンク先を変更することで、シーケンスの構造は保ったままHDR/SDRのテロップを一気に置換することが可能になります。Do4Kはノンリニア編集のワークフローをよく考慮して設計されていると感じました。

HDRとSDRのPNGファイルを指定したフォルダに、ワンクリックで同時に出力します。


IMAGICA Lab.渋谷様 IMAGICA Lab.渋谷様 
渋谷公園通りスタジオの編集スタッフを統括する
万能コントローラー。案件の取りまとめ役
渋谷氏:編集の現場を統括する立場からしても、『ヒューマンエラーのリスク軽減』という点が大きなメリットだと思います。現在はテロップをSDRで制作してからHDRに変換する手法を取っていますが、この場合の難点はやはりテロップ一枚一枚にLUTをあてていくといった作業が発生することです。テロップの枚数が増えれば必然的にこの作業も増え、LUTをあて忘れるといったヒューマンエラーのリスクも増加してしまう。しかしDo4Kを導入することで、リスクを払拭し編集者の負担を減らすことができる。結果、効率化が期待できますよね。

BUG:このリスクを低減することで、数字上では表現しづらいですが、効率化が期待できますね。その他の機能についてはいかがでしょうか。

小部氏:ノンリニア編集では、ワンマンで作業を行う場合、編集作業を行いながらテロップを制作します。テロップの色味や位置、HDRでの輝度レンジなどを確認しながら調整できるDo4KのDSK機能はメリットがありますね。
一方、メインとアシスタントといったツーマンで作業を行う場合はアシスタントがテロップを制作することが多いのですが、メインの編集者と確認のタイミングを取りづらいかなとは思いました。ここを解消するのにファイル合成機能が実装されている。なかなか考えられています。


Do4K

ファイル合成機能 HDRの背景画像・映像にSDRのテロップを載せ、HDRモニタに合成表示
テロップの位置合わせ、背景とテロップの色味の度合いがリアルタイムで確認可能


少なからず、HDR制作ではテロップの色域変換が心理的なハードルになっているのは確かです。ノウハウがなければ不安ですし、ノウハウがあったとしても、毎回、毎回、テロップ全てを後処理するのは大変です。今まで4K/SDRのテロップしか作れなかったのが、4K/HDRのテロップを作れるようになったというのは、なんといっても大きいですよね。

BUG:はい。それが元々の開発意図だったりします(笑)。

Do4K、どのようなポスプロ等にお勧め?

BUG:ところで、Do4Kを導入されて、どのようなポスプロ様にお勧めと感じられましたか?

小部氏:当たり前ですが、高精細映像でのテロップ制作でPhotoshopを利用しているポスプロには有効だと思います。その中で編集側の色域管理の手間などを省いてHDRでのテロップ入れを効率よく行いたいとお考えのポスプロにはさらに有効だと思います。

渋谷氏:Do4KはPhotoshopベースなので、カンバスのサイズも自由度が高い。8K番組では多くの場合HDR制作が必要になってくるので、4Kと言わず、8K制作を行っているポスプロでも有効ですね。ポスプロにこだわらないのであれば、ここ最近、海外で制作したHDRコンテンツにテロップを入れて番組に仕上げるといったケースが増えてきているので、字幕制作などを行われているところにもHDRテロップの需要があるかもしれません。これからHDR番組制作を受注していくポスプロには、うってつけかもしれません。

インタビュー後記

インタビューの際、SDRでの色域とHDRでの色域の違いを山の高さに例え、「例えば『山のてっぺん、十合目の高さ』と表現した場合でも、高尾山と富士山では全然違いますよね。SDRとHDRも同様で、例えば『緑色』を表現する場合、Rec.709の「0.255.0」とRec.2020の「0.255.0」では全く異なる色になるので、きちんと規格を理解していないと、後から大変なことになります」と、このように噛み砕いて規格の違いをご説明いただきました。これは、確かな技術の裏付けがないと出てこない説明。また、「HDR制作にあたってはお客様と伴走する」としたお話しもあり、その真摯なお仕事ぶりが容易に想像できます。HDR制作がさらに増え、そして、Do4Kを利用いただく機会も増え、渋谷公園通りスタジオ様が、ますますご発展いただくことを心から祈るばかりです。
Do4Kは、デザインテロップなどをHDRで制作しなくてはならない、例えば会社のロゴのような色が重要な要素を占める画像の制作、SDRでキャプチャした人物画像をHDRクリップに載せる、同一コンテンツで4K/HDR・2K/SDR放送の対応に苦慮されているなど、放送に関わっているPhotoshopユーザー様に、HDRコンテンツ制作の際に是非、ご活用いただきたく考えています。
文末になりましたが、お忙しい中、今回のインタビューに快く応じていただきました渋谷様、小部様には、改めて感謝申し上げます。
(インタビュー時期2020年9月)

注:記事作成にあたり、文中でのBT表記は規格、Rec表記は色域を意図した表現としています。

 
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